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【万引きで逮捕】店側との示談の流れ

私たちが暮らす日本で万引き事件はどのくらい起きているかご存じですか?

経済産業省が発表した「商業統計」によれば、全国での万引き被害額は1年間で約4,615億とされています。


「万引きはバレないし捕まらない」

「謝れば許してもらえる」

と思われがちですが、最近では防犯カメラなどの技術の発達により、万引きが見つかる確率は上がっています。

また、現行犯で逮捕されなくても後日逮捕される場合もあります。

家族が万引きで逮捕されたり、ご自身が軽い気持ちで万引きをして逮捕された後で、事の重大さに気が付き不安になっている方もいるかもしれません。

「万引き」は刑法235条の窃盗罪にあたります。

適切な弁護活動を受けなければ、裁判で罰金刑をはじめとする刑事処分が下され、前科がついてしまいます。

では、どのようにすれば前科を避けることができるのでしょうか。

今回は、万引き事件における弁護活動の流れについて解説していきます。

起訴されると前科が付く可能性が高い

逮捕された後、取り調べを経て、起訴された後に行われる刑事裁判で有罪判決が出ると前科がついてしまいます。

また、略式起訴という書面での審理のみの裁判もあり、少額の万引きで罰金刑が見込まれる場合には略式起訴となることが多いです。

いずれにせよ裁判で有罪判決が言い渡され、それが確定すると、前科がつくことになります。

前科がつくと、医師や教師など一部の職業に就けなくなったり、海外渡航の際に国によっては制限されてしまうなどの可能性があります。

示談によって不起訴にできる

被害者であるスーパーやコンビニと示談して、被害届の取り下げをしてもらうことができれば、通常は不起訴処分となります。

不起訴処分となれば、罰金などの刑事処分は下されませんし前科もつきません。

もっとも、常習犯であった場合や、事件が悪質な場合には検察官の判断で起訴される可能性もあるので、示談すれば必ず不起訴になるとは言えません。

もし起訴を避けることが難しい場合でも、示談が成立しているほうが罰金や懲役などの刑事処分が軽くなる傾向があります。

刑事裁判の中で、示談によって加害者が被害者に対して誠実に謝罪し、賠償を尽くしている、被害者の許しを得ている等の事実を主張できれば、有利な情状として裁判官の判断に影響し、減刑が検討されます。

示談の流れ

1.相手の確認

万引きの被害者は店舗であることが多いので、その責任者と示談交渉を行います。
店舗を管理監督する立場ではない契約社員などと示談交渉しても、店舗のオーナー企業が了承しない可能性もあるため、示談交渉の相手が責任者や管理監督する立場であることを示談前に確認しておきます。

2.謝罪
示談交渉を始める前に、まずは被害者に対して謝罪をしなければなりません。
店舗の営業の都合などで直接謝罪に行くことを受け入れてもらえない場合は、謝罪文を送付することもあります。
反省していることを示し、こちらの話を聞いてもらえるように努めます。

3.交渉
基本的に、まずは被害弁償として示談金を支払う提案をするところから、交渉がはじまります。
示談金の相場については通常は万引きの被害額を支払うか、そこに迷惑料などの趣旨で数千~数万円を加えた額となることが多いです。
また、商品によっては現物を返還する方法によって被害弁償する場合もあります。
いずれにせよ、被害弁償をすることが、被害者が示談に応じてくれるかどうかに大きく影響します。

4.示談書の作成
相手が示談に応じてくれれば、示談書を作成し、示談の内容を書面に残します。
示談金の支払い、被害届の取り下げなどの示談の条件を記載します。
また、宥恕文言といって、被害者が今回の犯行を許し、刑事処罰を望まないという旨を記載することが重要です。
この示談書の写しを検察官に提出することで、不起訴処分にしてもらうように働きかけることができます。

まとめ

ここまで一般的な万引き事件についてお話ししましたが、大手スーパーなどでは万引き事件への対応がマニュアルで決められている場合もあり、それぞれのケースに合わせた適切な対応が必要になってきます。

また、万引きのような窃盗事件では、示談できるかによって、その後の処分に大きな影響を及ぼすため、弁護活動は一刻を争います。

ご自身やご家族が万引きで逮捕されてしまった場合には、適切かつ迅速な対応をしてくれる弁護士に依頼しましょう。

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