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盗撮で逮捕された…前科を回避するには示談が重要


「盗撮で裁判までいくことはない」

「盗撮は前科がつくほどのことではない」

 
と思われがちですが、それは大きな誤りです。

適切な弁護活動を受けなければ、裁判で罰金刑をはじめとする刑事処分が下され、前科がついてしまいます。

ご自身やご家族が盗撮で逮捕されてしまった場合、前科を回避するためにはどうすればよいのでしょうか。

今回は、盗撮事件における示談の重要性と被害者との示談交渉の流れについて解説していきます。

盗撮を禁止する条例

北海道では、北海道迷惑行為防止条例という条例があり、公共の場所等で、盗撮、(盗撮目的でのカメラ等の)差し向け行為、のぞき見等の卑わいな行為をした者について、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処するとされています。

起訴されると前科が付く可能性が高い

盗撮事件では、現行犯逮捕されることも多いですが、逮捕されただけで前科がつくわけではありません。

前科とは、取り調べを経て、起訴された後に行われる刑事裁判で有罪判決が出た場合につくものだからです。

ただし、現在の日本において起訴されると99.9%有罪になるともいわれています。

刑事裁判には公開の法廷で行われる裁判だけではなく、略式起訴という書面での審理のみの裁判もあり、盗撮で罰金刑が見込まれる場合には略式起訴となることが多いです。

いずれにせよ刑事裁判で有罪判決が言い渡され、それが確定すると、前科がつくことになります。

前科がつくと、今後の社会生活に大きな影響を与えるリスクがあります。

盗撮で逮捕されてしまったら、前科を回避するためにすぐに弁護士に相談しましょう。

示談によって不起訴にできる

盗撮の被害者と示談することができれば通常は不起訴処分となります。

不起訴処分となれば、罰金などの刑事処分は下されませんし前科もつきません。

もっとも、前科・前歴がある場合や、悪質な盗撮の場合には検察官の判断で起訴される可能性もあるので、必ず示談すれば不起訴になるとは言えません。

もし起訴を避けることが難しい場合でも、示談が成立しているほうが刑事処分が軽くなる傾向があります。

刑事裁判の中で、示談によって加害者が被害者に対して誠実に謝罪し、賠償を尽くしている、被害者の許しを得ている等の事実を主張できれば、有利な情状として裁判官の判断に影響し、減刑が検討されます。

示談の流れ

事件から謝罪までの期間が長くなってしまうほど、被害者の感情としては加害者の行為を許しがたくなっていくのが普通です。

被害者から許してもらって示談するためには、早い段階で被害者対応を始めることが重要です。

1 被害者情報の問合せ
盗撮のような事件の場合、警察や検察は、トラブル防止のため基本的に被害者の情報を加害者には教えてくれませんが、これに対し弁護士が警察や検察に問い合わせた場合には被害者の連絡先を教えてもらうことができます。
ただし、被害者の同意のもとという前提があるので、弁護士限りで加害者には伝わらないようにするなどの条件のもと開示されたり、弁護士にも開示しないという可能性もあります。

2 示談交渉の開始
被害者の情報がわかり次第、弁護士が被害者と連絡を取ります。被害者の希望に沿って直接面会もしくは電話でのやり取りを進め、まずは弁護人の役割や示談の意味などを被害者に説明します。その後、示談金やその他の条件等について示談交渉が始まります。

3 示談内容の確定
示談交渉では、示談書の内容をどのようなものにするか協議していきます。具体的には、示談金の金額、被害届の取下げ、民事上の損害賠償に関する事項、被疑者・被告人の誓約事項などの項目があります。
これらについて被害者との合意に至れば、その内容で示談書を作成して、被害者との間で取り交します。
ただ、示談は書面を交わしただけで終わりではありません。被害者の信用を損なわないために、示談金は必ず指定の期限内に支払い、その他の事項も遵守しましょう。

4 示談内容を提出
最後に、警察官や検察官、裁判官に、被害者の署名・押印の入った示談書のコピーを提出します。これにより被害者の処罰感情が無いことなどを示すことができ、被疑者・被告人にとって有利な情状となります。

まとめ

ここまで一般的な盗撮事件についてお話してきましたが、実際の事件ではそれぞれのケースに合わせた適切な対応が必要になってきます。

また、盗撮事件で不起訴を獲得し前科を回避するためには、弁護活動をどれだけ迅速に行えるかがポイントになってきます。

特に逮捕されている事件での弁護活動は一刻を争います。

ご自身やご家族が盗撮で逮捕されてしまった場合には適切かつ迅速な対応をしてくれる弁護士に依頼しましょう。

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