コラム
不貞慰謝料請求の求償権について
不貞行為の慰謝料請求における求償権について
不貞行為が発生した場合、被害者である配偶者は、不貞をした配偶者およびその不貞相手の双方に対して慰謝料請求をすることができます。この慰謝料債務は、民法719条に基づく共同不法行為として、不真正連帯債務とされています。したがって、慰謝料を支払った一方の当事者は、他方に対して負担割合を超えた部分について求償権を行使することが可能です。
不貞慰謝料の求償権は、慰謝料を支払った当事者が、もう一方の当事者に対して自らの負担割合を超えた分を請求できる権利です。
実務上、不貞相手と合意する際に「求償権の放棄条項」を設けることが多く、この場合は求償の問題が生じません。
求償権の放棄条項がない場合や、当事者間で求償関係について合意ができていない場合には、後日、元不貞関係者間で求償を巡る紛争が発生することがあります。
例えば、被害者が不貞相手のみに慰謝料請求をし、不貞配偶者には負担させるつもりがない場合、不貞相手側は後に不貞配偶者へ求償を求めることがあるため、事前に求償権放棄の合意を交わすことが有効です。
負担割合の決定と裁判例の傾向
求償を求めることができる割合は、不貞行為に至る事情(どちらが主導的であったか、誘いかけの態様など)を考慮して決定されます。
基本的な負担割合が「半々」と考えられることもありますが、裁判例では配偶者に貞操義務や不貞行為の回避義務があることを理由に、配偶者側に5割を超える負担割合を認定した例も存在します(東京地判平成28年10月20日)。
求償権の放棄条項の例
実務では、慰謝料支払いに関する合意書に「求償権の放棄条項」を明記することが推奨されます。
例:「Cは、第○条に基づいてAに支払った慰謝料につき、Bに対する求償権を放棄する。」
このような条項を設けることで、後日の紛争を予防することができます。
トラブルになる前に、、、
不貞慰謝料の求償権は、共同不法行為に基づく不真正連帯債務の性質から生じる重要な権利です。
実務上は、求償権の放棄合意や負担割合の決定が紛争予防の観点から重要となります。慰謝料請求の際は、当事者間の合意内容や事情に応じて、求償権の扱いについて慎重に検討することが求められます。
もし同様の問題に直面した場合は、早めに専門家へ相談することが望ましいです。
万が一のトラブルに備えて法的リスクを理解し、専門家のサポートを受けることが、安心への第一歩となります。
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