コラム
YouTuber ヒカル氏のオープンマリッジ発言について
はじめに
人気YouTuberのヒカル氏が、自身の結婚生活をめぐって「オープンマリッジ」を宣言したことが波紋を広げています。オープンマリッジとは、夫婦が互いに合意の上で、配偶者以外との恋愛や性的関係を認め合う関係性のことです。
ヒカル氏は「僕たちはオープンマリッジで生きていきます」と発言し、妻である実業家・インフルエンサーの進撃のノア氏も了承したとされるが、その同意の過程や夫婦間の力関係について、ネット上では「本当に対等な合意なのか」「モラハラ的ではないか」といった批判が噴出しています。
ヒカル氏は、YouTube登録者数480万人を超える人気クリエイターであり、実業家としても活動されていますが、過激な企画や鋭い発言で若年層を中心に高い支持を集める一方、炎上や賛否を呼ぶ発言も少なくない人物です。
今回のオープンマリッジ宣言もまた、彼の存在感を象徴する騒動となっています。
日本の婚姻制度は一夫一婦制を原則とし、婚姻関係においては独占排他性(貞操義務)が基本とされています。もっとも、夫婦間でオープンマリッジ、すなわち配偶者以外との性的関係を認め合う合意があった場合、この合意が貞操義務違反に基づく損害賠償請求等の法的責任を免除する意思表示(免除の意思表示)に該当するかが問題となります。
学説の中には、貞操義務や貞操を求める権利は法的な「権利」や「義務」ではなく、愛情の問題として法の領域にかかわらせるべきでないとする見解もあります。この立場では、配偶者間でオープンマリッジの合意があれば、貞操義務違反の法的責任は生じず、したがって免除の意思表示があったものと評価しうる余地があります。
ただし、判例上は、婚姻や事実婚において配偶者以外との性的関係(不貞行為)は、婚姻共同生活の平和を侵害する行為とされ、損害賠償請求の対象となることがあります。しかし、当事者間で明確にオープンマリッジの合意があり、互いに第三者との性的関係を許容していた場合には、貞操義務違反に基づく損害賠償請求権を行使しない、すなわち免除の意思表示があったと評価される可能性があります。
免除の意思表示が成立するか否かは、当事者間の合意内容やその表示方法、合意の明確性、具体的事情に基づいて個別に判断されます。オープンマリッジの合意が明示的であり、かつ両当事者がその内容を十分に認識・了承していた場合には、貞操義務違反に基づく法的責任の免除の意思表示とみなされる余地があります。
結論
オープンマリッジの合意が明確に存在し、両当事者がその内容を認識・了承していた場合には、貞操義務違反に基づく法的責任の免除の意思表示と評価される可能性があります。
ただし、個別の事案ごとに合意の有無や内容、表示方法等の具体的事情に基づき判断されるため、必ずしも一律に免除の意思表示と認定されるわけではありません。
トラブルになる前に、、、
もし同様の問題に直面した場合は、早めに専門家へ相談することが望ましいです。
万が一のトラブルに備えて法的リスクを理解し、専門家のサポートを受けることが、安心への第一歩となります。
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